オリーブゴールド③※完結

  • 2024年3月18日
  • 2024年3月18日
  • お笑い

【前回までのあらすじ】

ネタ見せに合格し、晴れてオリーブゴールドに出演することになった私。その後もオリーブゴールドに出演し続けるが、芸風が定まらず毎回バラバラのネタを披露していた。秋になったある日、マセキの偉い人に「そろそろ芸風を決めなさい」と言われる。私の芸風って何?

※詳しくはこちら→オリーブゴールド②

※初めから読みたい方はこちら→オリーブゴールド①

 

今まで芸風について考えたことなんてない。毎月ネタを考えるので精いっぱいで、そんなことまで頭が回らなかった。

マセキの偉い人に「私の強みって何ですか」と聞いた。少し間が空いてから、「歌?」と返ってきた。

 

確かに私は今まで何本か歌ネタをやってきた。大学まで音楽を学んできたため、ネタ中に自分で作編曲した音源を流して歌ったりしていた。

しかし、そのときは歌ネタがとりわけ個性になるとは思わなかった。また当時の私は若手芸人あるあるで刃物のように尖っており、「歌ネタをする芸人はつまらない」という偏見を持っていた(今はない)。とりあえず言われた通り、次の月から歌ネタを作るようにした。

↑当時のノート

私が歌ネタをするときは、効果音を除いて使用する音源をほぼ全部自分で作っている。音源づくりには時間がかかるので、必然的にネタに向き合う時間が増えた。その結果、ネタのクオリティも上がっていったように思う。

そして歌ネタを本格的にやるようになってから、ありがたいことにバトルライブで優勝したり、周りの方から「面白かった」と言っていただけることが増えた。マセキの偉い人からも「なんか急に良くなったね」と言っていただいた。

 

自分の武器はこれかもしれない。何かを掴みかけていたこの時期、一緒にオリーブゴールドに出ていたサイハテさんとつめたいごはんさんが先にマセキユースに所属されることになった。

 

今だから言えるが、当時は先を越された感覚があって本当に悔しかった。オリーブゴールドの香盤でも「つめたいごはんさん→根尾みなみ→サイハテさん(トリ)」という順番もあり、もしかしたら二組が所属するタイミングで自分も声をかけられるかもしれないという淡い期待を抱いていたが、現実は甘くなかった。

↑12月某日の日記

サイハテさんもつめたいごはんさんも、ネタの面白さに加えて、個性が確立されていた。見ている人を惹きつける華もあった。私にはないものを持っていた。

 

数日間落ち込んだ。だがこの経験があってから吹っ切れたように思う。そもそも二組が所属するタイミングであわよくばなどと考えているうちに所属できるはずがない。私は私のネタをするしかない。引き続き歌ネタを作り続けた。

 

2024年になった。ありがたいことにオリーブゴールドのトリを任されるようになったり、ライジングオレンジでオリーブゴールドの成績優秀者がネタを披露する『ライジングタイム』というコーナーのメンバーに選ばれたりするようになった。オリーブゴールドMCのドロンズ石本さんにも「とうとうトリになったね」と声をかけていただいた。

ライジングタイムでは、今までに経験したことのないくらいたくさんのお客さんの前でネタを披露する機会を頂いた。またオレンジメンバーの先輩方が出番や企画の前にどうやって準備をしているのかを観察させていただくことができ、とても勉強になった。

↑2024年1月ライジングタイム初出演。私の前にネタを披露した前川正樹さんがめちゃめちゃウケていて、私は舞台袖でガチガチになっていた

そして2月オリーブゴールド。今までに経験したことがないくらいの笑いが来た。ネタの途中で拍手が来たのは初めてだった。

マセキの偉い人からも「面白かった」と言っていただいた。その日はウケたのが嬉しくて、帰りに大好きな一蘭でラーメンを食べた(卵トッピングと替え玉も注文した)。

 

3月もオリーブゴールドに出演した。ややウケ程度だった。毎回そう上手くいくものではない。

 

そしてこの月に、偉い人から声をかけていただき、マセキユース所属が決まった。3月ライジングタイムの中MCで発表させていただいた。芸人になる前に立てた目標の一つが達成できてうれしい。

 

この文章を書いている今からちょうど一年前の2023年3月17日の日記を見返してみた。マセキから初めて動画審査通過の連絡が来た日だった。長いような短いような不思議な感覚だ。

 

マセキユース所属を発表した後、芸人仲間たちからたくさんおめでとうというメッセージをもらった。SNSのフォロワーも合計で40人くらい増えて、マセキというブランドの力を感じた。

↑2.6万回表示されているらしい。人生でこんなにも注目されることはなかった

晴れてマセキユースに所属することができたが、私は即戦力候補として評価されたというわけではないと思う。ドラフトで言うと、私は支配下指名ではなく育成指名。能力値はいびつな五角形。数年後にでも当たればラッキーといった感じだろうか。

 

私は芸人としてまだまだ未熟だ。だから胸を張って私のことを応援してくださいとは言えない。ただ、これから私のことを少しだけ気にかけていただけるととても嬉しい。

 

オリーブゴールド三部作はひとまず完結。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

おわり

 

【お知らせ】

『マセキUNDER 9グランプリ』に参加しています。動画の再生回数で準決勝に行けるメンバーが決まります。気になった方はぜひご覧ください!

※2024年1月のオリーブゴールドで披露していたネタの改良版です