オリーブゴールド②

  • 2024年3月17日
  • 2024年3月22日
  • お笑い

【前回までのあらすじ】

オリーブゴールドの舞台を見てマセキのオーディションに応募した私。1回目の動画選考では不合格だったため、舞台に出て経験を積むことに。全く自信のないまま応募した2回目の審査で、マセキから動画選考通過の連絡が届く。

※詳しくはこちら→オリーブゴールド①

 

マセキから「動画選考に通過したので、ネタ見せに来てください」という内容のメールが届いた。急いで返信する。数日後、ネタ見せの日程が決まった。

ネタ見せでは、動画選考で送った2分のネタを4分に伸ばして披露しなければならなかった。4分のネタを作ったことのなかった私は、ネタ見せの日ギリギリまで台本を書いていた。

 

ネタ見せオーディション当日。スタッフさんからネタ見せについて軽く説明していただいた後、衣装に着替えて準備をした。

着替え終わってネタ見せの部屋に行く途中で、男性の芸人さん二人とすれ違った。今思うとあれはプロポーズのお二人だったかもしれない。まだご挨拶できていない……。

 

ドキドキしながらネタ見せの部屋に向かうと、マセキの偉い人たちが座っていた。「業界人だ!」と思った。心の準備をする間もなく「じゃあ始めてください」と言われて焦る。また私は普段眼鏡を掛けていて、舞台に出るときは外しているのだが、このときは緊張で眼鏡をかけたままコントに入ろうとしていた。「眼鏡外していいですか」と聞き、あらためてネタを披露した。

 

ネタ見せ中は、私の声と、マセキの偉い人たちが紙に何かを書いていた音以外に何も聞こえなかった。一か所だけ少し笑っていただいた部分があったが、それ以外はペンの走る音ばかりが響いていた。音楽教育を学んでいた大学生の頃、ピアノの試験で私がミスをするたびに、審査員の先生たちが一斉にペンを動かし始めたのを思い出して緊張が増した。

 

コントが終わった後、ネタに対してのフィードバックがあった。いわゆる『ダメ出し』と呼ばれるものである。ボロクソに言われるのも覚悟していたが、「先生のリアリティが出てた」というお褒めの言葉や「ここはもっとこうした方が面白くなるよ」といった建設的なアドバイスを頂いた。お粗末なネタだったが、芸歴がほぼゼロだったのを考慮されてか、だいぶ優しいダメ出しだったと思う。

 

その後、軽い面接があった。マセキが求める人材について聞いたり、今までの経歴や、オーディションを受けた理由などを話したりした。

しばらく話した後、ネタ見せは終了した。ただ合否の連絡方法などについて一切聞かされていなかったため、絶対に落ちたと思った。

↑この日の日記

↑この日のノート

翌日、マセキからオリーブゴールド合格の知らせが届いた。まさか合格するとは思わなかった。

折り返し電話して、オリーブゴールド当日の注意事項などを聞いた。不安な気持ちもあったが、とても高揚していたのを覚えている。

 

ネタ見せからオリーブゴールド当日まで、もらったアドバイスをもとにネタを書き直した。本来であればその期間にフリーライブ(お金を払えば誰でも出られるライブ)などに出てネタを調整するべきなのだが、当時は4分ネタを披露できるライブを見つけることが出来ず、ぶっつけ本番で当日を迎えることになった。

 

オリーブゴールド当日。少し早めに会場に着いた。

出演者全員が揃ってから場当たり(ライブの打ち合わせ兼リハーサルのようなもの)をした。この場当たりも当然初めての経験である。

場当たりが終わってから、他の芸人にあいさつをした。私以外は全員すでにオリーブゴールドに出演したことがあるようで、ライブの流れなどを色々と教えてもらった。

2023年5月のオリーブゴールドが開演した。私の出番は2番目。オープニングMCが終わり、トップバッターの嶺上開花さんのネタを舞台袖で聴きながら自分の出番を待っていた。

 

そしていよいよ私の出番。舞台が明転してから喋りだす。アドレナリンが出るのを感じた。

何とか4分のネタを終える。初めてのオリーブゴールドは、あまりウケなかった。つかみの小ボケが一番ウケて、そのあとは尻すぼみだった。

それでもすごく楽しかった。すがすがしい気分だった。

 

前半3組の出演が終わり、中MCの時間になった。通常オリーブゴールドのMCはドロンズ石本さんが担当されているが、この日のMCは演芸おんせん矢巻さんとおべんとばこさんで、中MCでお二人とトークさせていただいた。

まずお二人の声量にびっくりした(特に矢巻さん)。舞台に立つ人の声量だと思った。

また私は特に話す内容を考えずに中MCに臨んだのだが、私がどんなに普通のことしか喋ることができなくても、お二人の返しだけで笑いが来た。「プロの芸人ってすごい」と思った。一応私もデビューしたばかりとはいえ、プロの芸人ではあったのだが……。

 

自分の出番をすべて終えた私は、同じく出番を終えた芸人たちと喋った。大会を終えて一つになった部活みたいな空気感があった。初めて芸人の友達ができた。

↑この日のノート

翌月もネタ見せに合格して、オリーブゴールドに出演できることになった。今まで温めてきた設定のネタをやったら前回よりもウケて嬉しかった。またこの月(2023年6月)から、現マセキユースのサイハテさんとつめたいごはんさんが出演されるようになった。

 

その後も、ありがたいことに毎月オリーブゴールドに出演することができた。だが毎月ネタを考えるのは大変で、私には全く余裕がなかった。

手探り状態のまま、毎月バラバラのネタをやった。ある月は歌ネタ、ある月は変なキャラのコント。私には軸となるものが全くなかった。

↑夏ごろにやっていた歌ネタ。個人的にはかなり好きなネタだがどこでやってもあまりウケない

秋になった。ある月のオリーブゴールド終わり、マセキの偉い人から言われた。

「そろそろ芸風を決めなさい」

 

私の芸風って何?

 

つづく

 

続きはこちら→オリーブゴールド③※完結

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