『オリーブゴールド』というライブをご存知だろうか。オリーブゴールドとは、マセキ芸能社が主催するオーディションライブである。フリーの若手芸人たちが、マセキユース所属を目指してネタを披露している。
私はこのオリーブゴールドに、2023年5月から2024年3月まで出演していた。4月からはマセキユース所属になるため、晴れて卒業という形になる。
↑芸人仲間が出演していた3月のオリーブゴールド(14:30開演)
私がマセキに入りたかった理由はいくつかある。まず、所属している先輩芸人が寄席、バラエティ番組、賞レースなどさまざまな分野で活躍しているから。そのため私が今後どんな仕事をするにあたっても、身近にお手本となる先輩がいる事務所であると思ったから。最後に、色々なジャンルで活躍している先輩がいる以上、事務所を理由に自分の実力不足や人気のなさを正当化することができない環境に身を置きたかったから。
芸人になろうと思い立った2023年の1月、新宿Fu-へオリーブゴールドを見に行った。所属前のフーセンつばめさんや、後に一緒にオリーブゴールドを受けることになるSannyさんや嶺上開花さんが出演していた。
さらにゲストとして、R-1グランプリを控えていたかが屋賀屋さんがネタを披露していた。テレビで見ていた賀屋さんを、たった2メートルくらいの距離から見ることができるのにとても驚いたのを覚えている。
オリーブゴールドに出たいという気持ちが固まった私は、舞台に立ったことはないがとりあえずネタ動画をマセキに送ってみることにした。以前はライブ会場で直接ネタ見せをしてオリーブゴールドに出演するメンバーを選んでいたようだが、コロナ禍以降、動画審査を経て選抜された組だけが最終オーディションに進むことができるという形に変わっている。
ネタの内容は、プロ野球選手が入院している子どもに会いに行くのと同じ要領で、女性麻雀プロが入院しているファンのおじさんを励ましに行くというものだった。個人的には嫌いなネタではなかったのだが、結果は不合格。そう簡単に合格すると思っていたわけではないが、少し落ち込んだ。
さすがに舞台経験のないまま応募するのは良くないと思った私は、参加費を払えば誰でも出られるフリーライブに出演することにした。これが私の初舞台である。
披露したネタは、今まで付き合った彼氏の名前を両腕全体に彫っている女性のコント。舞台袖で自分の出番を待っていた際、ひとつ前の出番の人がどぎつい下ネタを連発していて色んな意味で震えた。
そして、いざ私の出番。コントの途中、カーディガンの袖をまくって両腕の入れ墨を見せると、女性のお客さんが全員引いているのが分かった。
家に帰って両腕のペイントを落としているとき、もう墨を入れるコントはやめようと思った。初舞台を経て私は「入れ墨で笑いは起きない」という教訓を得た。
この日の反省ノートがこちら。
元々はこのネタを次のオリーブゴールドのオーディションに送る予定だったが、さすがにこのネタでは合格するはずがないと思い、急きょ新ネタを作ることにした。
次はもっと等身大のネタを作ろうと考えた私は、学校が舞台のコントを書いた。私は小学校と中高音楽の教員免許を持っているので、自分が先生役のコントにした。
ネタの内容は、高校の先生が自分のクラスの男子学生に生徒指導をするというもの。YouTubeに上がっていたルシファー吉岡さんの生徒指導のネタを参考にしながら、どんなワードで笑いが起きそうかを考えながら作った。
ネタができた後、初舞台と同じライブで披露した。2回くらい鼻で笑ったような声が聞こえたのを除き、客席からは2分間ほぼ何も聞こえなかった。
ちなみに、こちらがその日の日記。
だが、入れ墨のネタでは絶対に落ちる。それならば、まだ学校コントの方が見込みがあるのではないか。自信は全くなかったが、ダメもとで送ってみることにした。
数日後。ネタを送ったことなどすっかり忘れていた私の元に、マセキからオリーブゴールド動画審査通過を知らせるメールが届いた。
つづく
続きはこちら→オリーブゴールド②