本日2025年9月27日をもって29歳になった。
2週間ほど前、本屋に行った。
なんとなく女性誌を手に取った。学生の頃たまに読んでいた雑誌は、もう私の年齢を対象としていなかった。
自分の年齢に合う20代後半~30代前半くらいの雑誌を探してみる。手に取った雑誌に載っていたのはいわゆるバリキャリと言われるような女性の写真。私のバイト代とお笑いの稼ぎでは手が出せない値段の服ばかりが載っている。私はそっと雑誌を閉じた。
もう少し手の届きやすい価格帯の服が掲載されている雑誌を見つけた。パラパラとめくっていくと、若いママ向けの雑誌だった。私は雑誌を棚に戻した。
女性誌を読んで、私は世の『20代後半女性』からかけ離れていると感じた。
芸人になると決めたのは26歳のときだった。27歳になる年で、芸人を始めるには少し遅めのスタートだった。
芸人になって2年と半年。順風満帆とは言えずとも、悪くない道のりだったと思う。
芸歴3年目にもなってくると他の芸人の状況もおのずと見えてくる。他の3年目の芸人と比較すれば恵まれている方だと思う。
預かりとはいえ名のある事務所の所属タレントとして名乗ることができ、テレビにも2度出演した。芸歴5年目以下日本一を決める賞レースUNDER5 AWARDでも、決勝進出とはならなかったが準決勝までは進むことができた。
養成所や学生お笑いなどを経験せず、全くゼロからのスタートだったにしてはよくやれているとは思う。先輩方に色々なところで名前を出していただいたりすることもあり、少しずつではあるが私の名前が広がっていると感じる。
しかし世間的に見たらどうか。20代後半の社会人女性として、私は世間から外れている。
芸人になると決めてから、当時付き合っていた彼氏と別れた。遅くからのスタートだったので、何かを手放さないと成功できないと思っていた。
未熟でも若さに価値があることは直感的に分かっていた。一刻も早く芸人になりたかったので、養成所には行かずフリーの芸人として活動を始めた。事務所のオーディションのために必死でネタを書き続け、1年ほどで預かりになれた。
芸人になってから3度目の誕生日。
27歳を迎えたときは事務所のオーディションライブに無我夢中だった。
28歳を迎えたときは事務所に入って仕事の幅も広がっていた。
29歳を迎えた今は何に食らいついているだろうか?
事務所に入ってから、名のある先輩とご一緒したり、ご飯に連れて行っていただいたりする機会が増えた。そういった先輩と行動していると、自分まで何者かになれたように錯覚する。
芸人は楽しい。売れていなくても、お金がなくても、幸せだ。同じような仲間がいて、一緒に夢を見ることができる。
でもずっとそこにいてはいけないと思う。
私は年齢を重ねる度、普通の『20代後半女性』の像からひとつ離れていく。
若さがすべてではないが、世間的にはそうではない。
ここ数年で明らかに肌のシミが増え、ハリが減った。
何者かになりたいのなら、お笑いで成功するという道にしがみつくしかなくなってくる。
売れなくちゃだめだ。
気持ちを新たにこの一年を頑張る。